1974年初出 萩尾望都
小学館フラワーコミックス 全3巻



映画化に舞台化、ノベライズまでされた名作と名高い作品ですが、まあはっきり言っていい歳をしたオッサンが真面目に読むには相当きついものがあるのは確か。

というかオッサンが真剣に読んでいる絵が怖い、というのが正解か。

まあ、どちらでもいいんですが。
 
本作、この頃作者が好んで題材にしていた一連のギムナジウム(寄宿学校)ものに属する物語で、身も蓋もない言い方をするなら少年愛の物語です。
 
見事なまでに女性は登場しない。
 
性に未分化な少年達の幼い恋心が赤裸々に描かれてるんですね。

ストーリー、その世界観の磁力みたいなものは凄まじい、と思うんです。
 
1人の少年の死に端を発する閉鎖された世界でのドラマは到底やおいごときが太刀打ちできぬ重厚さで、触れれば壊れてしまいそうな少年の心の機微が鮮やかに描かれており、作者ならではの卓越したセンスと技巧が突出して光ってると感じるんですが、それでもこれ、普通に少女がヒロインじゃやっぱり駄目だったのかしら、と私なんかはどうしても思ってしまう。
 
駄目なんだろうなあ。
 
多分こういう事を言ってる時点で多くの信奉者から「こいつはまるでわかってない!」と思われてるんでしょうね。
 
でもやっぱりこの作品って女性のための物語だと思うんです。
 
少女マンガファンが夢想するお耽美さ、インモラルさにある程度共感できる素地がないとおそらく作品の魅力は半減することと思われます。

多分、感受性豊かな若い頃に読むべき一作。

あーもー、どいつもこいつもうじうじと面倒くさい、なんてつっこみたくなる大人は触れちゃあいけないんです。

巷で言われる、普遍的な愛を描いた傑作であることは否定しませんが、私にはいささかリリカルで繊細すぎましたね。




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