アメリカ 2002
監督 クリストファー・ノーラン
脚本 ヒラリー・サイツ



97年にノルウェーで製作された「不眠症」のリメイク。

オリジナル版は未見。

おや、ノーランは意外な方向に駒を進めてきたな、と言うのが第一印象。

なんせ出演がアル・パチーノとロビン・ウィリアムスですんで、ある種のスター映画、ととらえることも可能かと思うんです。

「フォロウイング」や「メメント」のように作家性と実験性がぐつぐつ煮えているような映画を撮った人がすんなりこういう作品に手を染めるのはちょっと意外でした。

ハリウッドでやっていくための処世術かな、なんて勘ぐったり。

ただ、2大スターの共演、という話題性以上に、監督は見事に作品全体をコントロールし、隙のないサスペンスを練り上げてきたことは間違いないように思います。

アル・パチーノの存在感、その演技、素晴らしいです。

でもそのアル・パチーノですら物語を構成するための駒でしかない、と感じさせる精緻な構築性があるんですよね。

いやもう、本当にうまいと思う。

これは蛇足だ、とか、ここが変とか、つっこみどころが全くないんですよね。

自分の信じる正義を貫かんとしたがために窮地に陥った老刑事が、思わぬアクシデントから殺人犯と共謀せざるを得なくなるシナリオもいい。

眠れぬ夜をすごす羽目になったのは、白夜のせいか、それともあるまじき行為に手を染めた罪悪感のせいか、主題がブレることなくタイトルに集約されているのにも感心。

主人公の疲労、焦燥がそのまま画面から伝わってくるかのような念入りで細やかな心理描写も素晴らしい。

最後まで釘付けでしたね。

そして劇的なラストシーン。

老刑事は自分を崇拝する若い女刑事に何を伝えたか。

か、かっこよすぎ、とあたしゃ悶絶。

刑事もの、として見てもきっと楽しめることと思います。

文句なし名作。





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