1980年初版 山岸 凉子
朝日ソノラマサンコミックス



<収録短編>
天人唐草
キルケー
夏の寓話
悪夢


駄作なしの傑作短編集。
 
表題作「天人唐草」は人が狂気に至る構造を、厳格な家庭に産まれた1人の女性の少女時代からじっくり描いた傑作。
 
重いし救いのない話ではあるが、まさに山岸さんならではの舌鋒鋭さが冴え渡る。

見事。

「キルケー」は山中の古びた洋館に迷い込んだ少年少女を襲う怪を描いた作品で、まあ古くからあるパターンっちゃあパターンなんですが、館の主の描き方が秀逸。
 
自己愛に溺れる妖魔の描写が多重に隠喩的。
 
「夏の寓話」はこれまた良くあるパターンのホラーなんですけど、オチが恐ろしく重い。

オチに至る数ページの描写には正直鳥肌がたった。

らしくないといえばらしくないし、何かを啓蒙するのに使われそうな・・と思ったりもしましたが、短編としての完成度は恐ろしく高い。
 
「悪夢」は多分実在の人物を題材にしたであろう仮想現実を描いたSF。
 
仮想現実というと電脳か?と思われそうですが、この場合は夢なのか、現実なのか、って意味。

オチのどんでん返しが素晴らしい。
 
全編通して作者にしか描けない短編の醍醐味が堪能出来ます。



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