1985年初版 山岸 凉子
秋田書店ボニータコミックス



<収録短編>
黄泉比良坂
クリスマス
海底より
シュリンクスパーン
幸福の王子


「幸福の王子」が花とゆめコミックス刊「ひいなの埋葬」に重複収録。

「黄泉比良坂」は見えざる不可視の存在を、不可視の存在の側から描いた秀作。

あまり詳しく書くと、せっかくの作者の仕掛けが台無しになってしまうので書けないんですが、本作、題材はありきたりながら切り口の巧みさでぐいぐい読ませる、作者らしいテクニカルなホラーです。

ラスト1ページがやたら怖い。
 
「クリスマス」は孤独な少年と万年少女な不遇な叔母の心の交流を描いた傑作。

読者の好みにもよるかと思うんですが、あたしゃ気を許すと涙腺が弛緩しそうでひやひやした。

これ、優れた監督が映像化したら傑作になると思う。

叔母役は是非メリルストリープで。

珍しく感動路線。
 
「海底より」も作者らしいホラーですが、ちょっとオチが弱いか。

最後にもうひとひねり欲しかったところ。

「シュリンクスパーン」は帰る家のない孤児と作家の交流を神話の牧神パーンの物語になぞらえて描いた佳作。

ちょっとオチが都合良すぎるか、とも思うんですが、ああよかったね、とホッとはします。

これまた充実の一冊。



comic