1987年初版 山岸 凉子
角川書店あすかコミックス



<収録短編>
常世長鳴鳥
青海破
副馬
天沼矛
水煙
時じくの香の木の実


「常世長鳴鳥」は体が弱く美しい姉と健康だが凡庸な妹の愛憎劇を描いたサスペンス。

過去に似たようなテーマの短編がいくつかあったような。

お得意のやり口かと。
 
「青海破」は見えざるものの存在を暴き立てるわけでもなく、恐怖するわけでもなく、そこにあるものとして淡々と描いた秀作。

詩的だと思ったりもする。

「副馬」はほとんど日本昔ばなし。

特に記することもなし。

「天沼矛」は三部作構成になっていて、古い短編だが三色すみれを思い出したりもする。

特に共通するテーマもないように思うが、まあ、退屈はしません。

「水煙」はお姫様にあこがれる少女の心理を代弁するストーリー、といってよく、舞台が古代で主人公は大王の御落胤、という設定。

いかにも日出処の天子以降の作品らしい感じ。

「時じくの香の木の実」は俗に言う霊媒であり、巫女であるミステリアスな存在を作者独自の解釈をまじえ別の視点から語った秀作。
 
タイトル作だけあって一番読み応えがあるか。

らしい短編集、といった印象。



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