1977~80年初出 花郁悠紀子
秋田漫画文庫



<収録短編>
白木蓮抄
不死の花
百の木々の花々
緑蔭行路
それは天使の樹
幻の初恋


SFの人か、と思っていたらなんでも描ける人で、あらためて驚かされた、ってなところでしょうか。

能を題材にした幻想的な作品から、民間伝承を小道具に時間を超えた恋愛ドラマ、軽妙なタッチのラブコメディまで、実に多彩で感心することしきり。
 
まあこの時代の漫画家は作者に限らず創作の幅は比較的みなさん広いですが、どの短編も器用貧乏に陥ることなく総じて水準以上であることが花郁悠紀子と言う漫画家の尋常ならざる才能を見せつけている、と言えるでしょうね。
 
もちろん絵のタッチや様式に古さはあるし、多彩さに読み手として焦点を絞り切れぬとまどいはあるんですが、もしこの次に長編に着手するようなことがあれば間違いなくそれは大傑作になったのではないか、という予感が本作品集からは色濃く匂い立ってます。
 
完全開花前夜の力作。

せめてあと5年あればなあ。

知る人ぞ知る存在なのがはがゆい限りです。



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