イタリア 1971
監督、脚本 ダリオ・アルジェント



謎の人物につきまとわれた挙句、殺人事件に巻き込まれてしまうロックバンドのドラマーを描いたサスペンス。

なぜロックバンドのドラマーが主役なのか、その必然性が作品を見た限りではさっぱりわからないんですが、それよりも私がいただけない、と思ったのは、やはりシナリオ展開が性急すぎることでしょうかね。

主人公、いきなりオープニングで初老の男ともめて、誤ってナイフで刺してしまうんです。

「いつも俺をつけまわしやがって」と主人公は吐き捨てるんですが、その前にお前はどういう人物で、どういう背景があって、「いつも」とはいつからいつまでのことなのかなにもかもがわからないものだから、見ていて全くのれないし、なんだこの突拍子もない滑り出しは、とあっけにとられた。

これが物語の主筋に後々関わってくる伏線であるとか、とっかかりになるシーンだ、というならわかる。

それならむしろ説明するのは野暮だと私も思う。

でも違うんですよね。

純然たる事件の幕開けなんです。

もちろん、見進めるにつれてその関係性や諸事情は明らかになってくるんですが、これ、順番が違う、と私は思った。

せめて時間軸を前後させるぐらいのことはしてもらわないと、遅れて上映中の映画館に駆け込んだような気分になることは必至。

まあ、犯人がいったい誰なのか、最後までわかりませんでしたし、犯人を突き止めるきっかけとなる「4匹の蝿」のトリックも悪くはなかったんで、決して退屈だ、と言うわけではないんですが、上述した点も含め、色々きわどい、というのは確かですね。

殺人犯の動機に納得できない人も中にはいるかもしれません。

あっと言わせるオチのためのオチになりかけてる傾向もあり。

そういう整合性のなさ、危なっかしさも全部含めてジャーロなのかもしれませんが。

初期3部作の中ではデビュー作の「歓びの毒牙」が一番よく出来ていたように思います。

ファンの間ではラストシーンのスローモーションが話題。

ちなみに私は主人公が属するロックバンドが演奏している曲がなんなのか、凄く気になった。

ネットで情報発見できなかったんですよね。

クレジットはイタリア語でよくわかんないし。

エンニオ・モリコーネの曲、なんてことはないと思うんですが・・・。

アルジェント作品にしてはどこかユーモラスな部分もある、というのがひょっとするとこの作品の一番の見どころかもしれません。






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