アメリカ 1998
監督 サム・ライミ
原作 スコット・B・スミス



あのサム・ライミがこういう作品を撮れちゃうんだ、と初見時、実に驚かされましたが、やはりそこは「才能はホラーから産まれる」のもっともたる体現、と見るべきなのか、と1人ニヤニヤとうなずいてみたり。

なんだかもうすっかり落ち着いてます。

初期作品のバタバタした感じはまるでなし。

で、普通に面白いです。

偶然にも雪山で大金を発見したことから、その後の運命が大きく変わっていく3人を描いた作品なんですが、うまいな、と思ったのは聡明で常識人な弟と、不器用で自分の殻に閉じこもりぎみな兄との対比を私欲とモラルの視点からあぶりだしたことでしょうね。

誰も困ったり傷ついたりしない降ってわいたような役得だったはずなのに、いつのまにかかかわった人間の本性をあからさまにしていくストーリー展開は、自分ならどうしただろうという問いかけを伴って非常にスリリングだったように思います。

なぜちょっとした出来心がこんな結末をまねいたのか、その答えは簡単なんですね。

そこはもう、誰でも指摘できると思う。

その簡単さを、だからこそ引き返せない黄泉路に迷い込んでしまう怖さがあるのだ、とした点こそがこの作品の見どころでしょうね。

また、兄役のビリー・ボブ・ソーントンが恐ろしく演技巧者なんです。

何かがのりうつったかのように愚直な兄を熱演。

彼の存在が作品の魅力を底上げしてることは間違いなし。

いささか過剰にエスカレートしすぎでは、と思える部分もあるんですが、救われなさが醸す砂を噛むような苦いエンディングの印象深さで私は帳消し、としたい。

秀作だと思います。

良質な人間ドラマであり、サスペンスでしょう。






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