イタリア 1975
監督 ダリオ・アルジェント
脚本 ダリオ・アルジェント、ベルナルディーノ・ザッポーニ



サスペリア2、と邦題がついていますが、実は公開されたのはサスペリアの2年前。

サスペリアが日本で大ヒットしたのに便乗して当時の配給元が柳の下のドジョウを狙っただけ、という脱力なオチです。

サスペリアとは何の関係もない別作品。

原題はPROFONDO ROSSO(深紅)。

主人公がピアニストで、謎の絵を鍵に殺人事件を異邦人が追う、と言う展開は「歓びの毒牙」と「4匹の蝿」を混ぜ合わせたような按配で、これは初期の集大成的意味合いもあるのかな、などと私は思ったのですが、そういった製作側のコメントは発見できず。

おそらく、単純にそういう設定が好きなんでしょうね、アルジェントは。

ちょっと驚かされたのは、オープニングでいきなりテレパシストが登場して、この会場に殺人者が居る、とわめきだす、すべり出し。

千里眼事件の御船千鶴子かよ、と私は目を丸くしたんですが、特に精神感応が物語にとって重要な意味を持つ、と言うわけでもなく、そのシーンはそのシーンだけで完結。

いったいなぜテレパシストなどというSFな素材を監督はわざわざ用意したのか、いまだによくわかりません。

以降の展開は普通にサスペンス。

相変わらず警察そっちのけで主人公大活躍です。

女性記者とピアニストのコンビの奮闘がどこかユーモラスで普通に楽しい、というのはありましたが、反して絡んだ糸が鮮やかに解きほぐされていくミステリ的快楽はやや低調気味かも。

あっ、と言わされるオチが待ち受けてはいるんです。

でもそこに至るまでのプロセスにあまり構築性が感じられない、というか。

こりゃ確かにジャーロ、と思わずにんまりするチープさは全開ではあるんですけどね。

あと私が気になったのは、これまで徹底してヒロインにこだわってきた監督が、本作に限って何故かあまりぱっとしない女優を起用していること。

え?ニューハーフの人?ひょっとして男だった、ってオチ?などといらぬ詮索で混乱させられてしまった。

いささかゴッタ煮感もあって、こりゃ傑作!と言うほどではないと思うんですが、まあアルジェントらしい一作ではあると思います。

名プログレバンドGOBLINのサントラも聞き所のひとつ。

ファンなら楽しめる1本じゃないでしょうか。





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