1965年初出 石ノ森章太郎
双葉文庫 全2巻



UFOの怪光線をあびたことにより、太古の人類が持っていたであろう超常能力を発現させてしまった少年、サブの活躍を描いた連作短編。

いわゆるエスパーものの草分け、と言っていい作品ではないでしょうか。

さすがに年代が年代ですんで今読んで新鮮に感じられる部分ってのは少ないんですが、私が驚かされたのは後に発表される超能力者をあつかった作品の多くが、いかにこの漫画を雛形としているか、はっきりとわかる形で提示されていること。

いわゆる超能力者の孤独であったり、超能力者を新人類と考える発想であったり、万能であるがゆえ招く悲劇であったりと、なんだよ、もう全部ここで発表されてるじゃないか、と感嘆することしきり。

「地球へ」なんて強烈な影響うけてると思います。

石ノ森、おそるべし。

私はこれまで国内においては「バビル二世」がエスパーものの嚆矢、と思っていたんですが、この作品を読んであらためて振り返るなら、あれはアメコミの亜流だったんだな、とはっきり言えますね。

もちろんそれは否定する意味ではありません。

ここからサイボーグ009につながっていったのか、と思えるようなくだりもあり、もう早い話が日本のヒーローものは全部石ノ森章太郎がこの時代にやりつくしてたんだ、と再認識させられたりしました。

余談ですが、ミュータントサブ、単行本化にあたって改変された経緯があるようです。

元々はサブ、広島出身で被爆二世という設定だったとか。

つまり超能力の発現は放射能のせいだった、というシナリオが元来のものらしいんですね。

それを踏まえて読み直すと全く意味の変わってくるお話もいくつかあり、ああ、原版を読んでみたかった、とつくづく思う次第。

改変が是か否か、は微妙な問題ではありますが、もしこれが雑誌掲載時のまま単行本化されていたら現在の評価をも超えて大傑作、と謳われていたかもしれないなあ、と思ったりもしました。

ちょっと無視できない一作ですね。



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