1977年初出 小池一夫/平野仁
小学館ビッグコミックス 全6巻



まだ世に出る前の若かりし諸葛孔明を描いた中国歴史ドラマ。

お、小池版プレ三国志か、と色めきたつ人も中にはいるかもしれませんが、実態は三国志どころか史実にすらかすりもしていないと思われる独創性たっぷりの伝奇ファンタジーなんで、そこはやや注意が必要かもしれません。

なんせいきなり仙人が登場したかと思えば、幽明界の桃を食べて選ばれた人間となり、挙句に鬼界を支配する四姉妹を従えたりと、荒唐無稽をものともせずやりたい放題。

物語は戦乱の火のやまぬ中国を放浪する孔明が、鬼界の四姉妹の力を借りて問題を解決していく方向で進んでいくんですが、これは立身出世伝なのか、それとも単に強大な力を手に入れた若者の人情ドラマなのかという点で各話にブレがあり、なんとなくのれない、というのはあったように思います。

漠然と世のため人のためにつくしたい、と孔明に語られてもですね、ストーリーの行き着く先がやっぱり見えてこないし、三国志ともリンクしそうに思えないわけです。

四姉妹に願いを遂行させるためには性交する必要がある、などというルールを定めたのもいささか足枷になっていたような気も。

まあ、読者サービスなんでしょうけど。

無力な若者が四姉妹を妻と呼び、その力の恩恵にあずかりつつも人との係わり合いについて考える、という構造だけを抽出するなら、 後の「魔物語愛しのベティ」とほぼ同じだな、と思ったりもしました。

結局、魔物語に至るためのたたき台となった作品なのかもしれません。

まだこれから、というところで突然終わってるので、おそらく人気が出ず打ち切りになったのでは、と思われます。

諸葛孔明でこんなことが出来るのは小池一夫だけだと思うんで、そういう意味では楽しめたんですが、 ちょっと自由奔放にやりすぎた、ってなところでしょうか。

どちらかというとファン向け、ですかね。



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