アメリカ 1980
監督、脚本 ジョン・カサベテス



99年にシャロン・ストーン主演でリメイクもされたベルリン国際映画祭金獅子賞受賞の名作。

なんと言っても監督のジョン・カサベテスが素晴らしかったのは、当時50歳だった主演のジーナ・ローランズを等身大のまま恐ろしくかっこいい女としてフィルムに焼き付けたことでしょうね。

ジーナ、格別フェロモン全開な肉感的美人、と言うわけでも、とびぬけて身のこなしが鮮やか、と言うわけでもないんです。

特にアップで寄られたりすると小じわなんかも目立っちゃって、どっちかというともう初老のおばあちゃん、と言ってもいいのでは、と思ったりもするんですが、それがいざ少年の前に立ち、マフィア相手に啖呵をきるシーンともなれば、これ以上のはまり役が存在するのか、と思えるレベルで最高にいかす女になっちゃうんですよね。

グロリアの背景をはっきりと描かず、余計な脚色をしなかったのもうまかった。

なんの後ろ盾も頼るべきものもないまま、赤の他人の子供をつれて拳銃だけを頼りに街を逃走するグロリアの姿は、語られぬがゆえ余計に彼女の生きざまそのものを浮き彫りにしたように思います。

そこにあるのはろくな人生を歩んでこなかった中年女の最後の矜持。

私はそれに酔わされましたね。

悩みはするが、躊躇はしない、ってのがまたしびれるんです。

特にマフィアの車に向けて唐突に拳銃をぶっ放すシーンなんてもう鳥肌もの。

このシーンを見れただけで私は充分元をとった、と思った。

なんかマフィアが生ぬるくねえ?と思う人も中にはいるかもしれませんが、そこはね、焦るな、とただ一言私は言いたい。

最後にすべてが明らかになります。

唯一、私があれ?と思ったのはラストシーン。

根本的なところで解決してないのでは、と思ったりもしたんですが、まあ良しとしましょう。

これだけのものを見せつけてくれたら文句なし。

いちいちセリフが小気味よくいかしてるのにも注目です。

名作の評価に偽りなし。

余談ですが、リメイク版は最悪なので要注意。





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