イタリア 1977
監督 ダリオ・アルジェント
脚本 ダリオ・アルジェント、ダニア・リコロディ



「決して1人では見ないでください」のキャッチコピーとともに、当時日本で大ヒットし、アルジェントの名を一躍有名にした出世作。

あ、なんか監督吹っ切れたな、というのは感じましたね。

個人的には長編デビュー作である「歓びの毒牙」を頂点として、以降、それを超えるスリラー/サスペンスを形に出来てないと思ってたんですが、ここに来て舵取りの方向を微妙に変えてきた、というか。

はっきりいって整合性はありません。

なんで主人公が狙われなきゃならないわけ?という肝心の大前提をすっ飛ばしたまま物語はなだれ込むように惨劇を重ねていく有様。

ただただ煽りまくってるだけのホラーじゃないか、という指摘もきっとあることでしょう。

でもですね、その煽り方がアルジェントならではの独特なものであった場合、あえて整合性をも無視して別のところに目線を合わせてきたか、などとファンとしては思ってしまうわけです。

とりあえず原色まみれのライティング、まともな感覚とは思えません。

主人公の横顔を真っ赤に染めたかと思えば、窓の外は緑一色だったりするんですね。

サイケデリックすぎて頭がくらくらしてきます。

壁の色が赤一色で古風な寄宿舎、というのも舞台設定としては薄気味悪さ満開でその忌まわしさを助長。

まあ若干ね、やりすぎなのでは、と思ったりもするんですが、それが総じてここにしかない「不穏さ」を演出していることは否定できない事実。

天井から意味なく虫の幼虫を降らせてみたり、美少女を鉄線に絡ませて絶命させてみたりとそのサディズムに拍車がかかってきてるのも見どころのひとつ。

いったい何がおこってるんだこれは、と観客を恐怖にひきずりこむ手管は本作にて見事芽吹いたように思います。

オチはとってつけたような感が強かったりするんですが、この作品の場合、それはさして重要ではなく、肝心なのはプロセスでしょうね。

プロセスに、嗅いだことのない恐怖の匂いがあった。

毒々しくてチープだ、とまともな映画ファンからは顔をしかめられそうな作品ではありますが、イタリアンホラーが確立する上での最重要作、という位置付けはファンとしては譲れない、といったところでしょうか。





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