アメリカ 2012
監督 クリストファー・ノーラン
原案 クリストファー・ノーラン、デヴィッド・S・ゴイヤー



ノーラン版バットマンの3部作完結編。

前作ダークナイトの完成度があまりに凄まじかったものですから、まあ、あれを超えるのはさすがに無理だろう、と私はタカをくくってたりもしたんですが、超えられないまでも同等に近いところまでノーランは作品を練り上げてきてて、もう本当にただただ脱帽の一言。

ただですね、テーマ性、と言う意味ではダークナイトの次につながるものではない、というのはあるんです。

現実に立脚した超人的ヒーローが民意にさらされた末、あのような結末を招き、その後、その社会貢献の場をどういう形で設けるのかがシリーズの帰着となるはずだと私は考えるんですが、そこはいったん平和になりました、でなんとなくうやむや。

描かれているのはビギンズと同様、テロvsバットマンの構図で、これはいわば1作目のリテイクなのではと思ったりもするんですね。

そこにリターン・ザ・バットマン以上の意味はない。

じゃあいったい何が脱帽だったんだ、という話なわけですが、ここにきて監督はアメコミにお得意のサスペンスの要素を持ち込んできたように感じた点、なんですね。

まさかお前が!と、驚かされる予想外のオチもそうなんですが、あれが伏線であり、前フリであり、軽いくすぐりだったのか、と気づかされる場面の多さに仰天させられること、数知れず。

これ、1作目からはっきり記憶してないとわかりません。

私も今回連続して見てやっとわかった。

そりゃ、後付けで付け加えたのかもしれませんよ。

でもそこに破綻が一切ないんです。

恐るべき精密さで編み上げたシナリオのきめ細かさに、いったいどれほどの情熱と時間を費やしたのか、と唖然。

いくらテーマを完遂してないからって、ここまで手抜きのない丁寧極まる物語を披露されたら文句も喉元でつっかえる、ってなもの。

これこそが構築美だよなあ、と私は思った。

ほんと滅多にないですよ、ここまでやりきってる映画って。

また、はっきりと呼称することなく、キャットウーマンやロビンを登場させているのが心憎いんです。

特にキャットウーマンの耳をゴーグルで表現する発想には心底舌を巻いた。

バットマンというヒーローを哲学する道のりは途中でわき道にそれたかもしれませんが、それをカバーしてありあまるものがこの作品にはあると思います。

フィナーレにふさわしい傑作であり、歴史に楔を打ち込んだシリーズといえるでしょうね。

当分、これ以上のものは出てこないと確信する次第。





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