アメリカ 2009
監督 サム・ライミ
脚本 サム・ライミ、アイヴァン・ライミ



サム・ライミが「死霊のはらわた」以来、本当に久しぶりに手がけたホラー。

古くからのファンとしちゃあ、期待するな、と言うほうが無理な話で。

いったいどれほど怖がらせてくれるのだろう、とわくわくしながらメディアを再生したわけですが、結論からいうと80年代は遠くになりにけり、のただ一言。

・・・・・・・まるで怖くない・・・・・。

降ってわいたような災難にヒロインが右往左往させられるだけなんです。

挙句に霊能者とか出てきた段階で、ああもうこれはファンタジーだ、と嘆息。

やっぱりサム・ライミのホラーの怖さ、ってどこか狂気と紙一重の過剰なサービス精神にあったように私は思うんですね。

一歩間違えれば完全にお笑いでは?とも思える遠慮呵責ないしつこさが異様なテンションを産んでいた、とでもいうか。

要はホラーへの愛情あふるる悪ノリですよね。

そこに当時のホラーファンはきっと同調していたはずなんです。

なのに本作、妙に冷静。

理路整然とわかりやすさを心がけています、みたいな。

なんだか私はスピルバーグの作品でも見ているかのような気分になりました。

まあ、これが経験を積み重ねたベテランゆえの技だというのはわからないわけじゃないんです。

実際、多少性急すぎる傾向はあるものの、大きな破綻はないし、ちゃんと計算づくで怖がらせようとする意図も見てとれる。

でもそんなのサム・ライミのホラーに私は求めちゃいないわけで。

最大のネックは、別にこれ、ライミじゃなくてもそこそこ腕のある監督なら誰でも撮れる、と思えた点。

やっぱりね、若かりし頃の彼ならガーナッシュ夫人を途中退場させるなどというもったいないことは絶対やってないと思うんですよ。

あんなおいしいキャラを最後まで搾り尽くさなくてどうするか、と。

いつまでも昔の影を追い求めるどうしようもないファンであることは承知の上で言いますが、見栄えを良くするテクニックを手に入れた分、監督は、野放図ともいえた恐怖への渇望をどこかにおいてきてしまいましたね。

唯一、ヒロインが鼻血を噴出させるシーンだけは「らしい」な、と思いましたが、もうほんとそこだけ。

私にとっては最大公約数なホラー。

惹かれるものはあまりに少ない。





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