アメリカ 2013
監督 サム・ライミ
原作 L・フランク・ボーム



あのサム・ライミがディズニー?と目が点になったりもしたんですが、まあ、いつまでも初期のイメージをひっぱり続けるのは監督にとっても観客にとっても不幸かもしれません。

なんでも撮ってる、といえば撮ってますしね。

私もいい加減に慣れろ、ってほんとにもう。

「オズの魔法使い」の前日譚を描いた作品ですが、いかにもディズニーらしいファンタジックな画作りが目をひく王道のファンタジー、と言っていいでしょうね。

ちょっとやりすぎなのではと感じられるほどCGまみれで私は途中でアニメでも見てるかのような気になりましたが。

そこはもう監督らしさすら飲み込んでブランド化してるようにすら思えるほど。

それがいいのか悪いのかはわかりませんが、安心にはつながってるのかも、と思ったり。

実は魔法使いでもなんでもない奇術師が救世主扱いされて右往左往する、というシナリオも、既視感こそあれ、悪くはありません。

どうなるんだろう、と興味をひくものはあった。

ただ、良い魔女と悪い魔女の争いに巻き込まれたオズがさてどちらに味方するべきなのか、という展開は、もうちょっとギリギリまで真相をひっぱれなかったものか、と思ったりはしましたね。

このままだと、なんの裏づけもないのにあっさり納得してしまうオズがちょっとバカっぽい。

ミステリ風に真実を終盤で明かす、みたいなシナリオ構成だったらもっとのめりこめたか、と思うんですが、それだとオズの魔法使い本編にうまくつながらない、ということなのかもしれませんね。

あと気になったのは演出ですかね。

スパイダーマンで私の心をふるわせた監督のうまさはここにはありません。

それがシナリオのせいなのか、ディズニーの介入のせいなのかはわかりませんが、なにかに忠実にやろうと無難な線を狙ったかのような印象は否めず。

演出力が衰えた、とは思いたくないんですが、そういわれても仕方がない、と思えるだけの単調さは散見。

まず、ありえないでしょうけど、私は、これをテリー・ギリアムが撮ってたら、と夢想せずにはいられませんでした。

陶器の少女のかわいらしさとか、クライマックスの大仕掛けとか、涙腺を刺激する素晴らしいシーンもあるんですが、総合的に評価するならライミらしからぬ不安定な1本、と言わざるを得ないでしょうね。

やってることは実は「キャプテン・スーパーマーケット」と同じなんで、もっと悪ノリもできたろうに、と考えたりもするんですが、大人の仕事ってこういうことかも、と諦観にも似た納得をしたりも。

低年齢層向け、と解釈するのが一番しっくりくるかもしれません。

拒絶する要素はなにもないんですが、私が追い続けたライミはもうここには居ない、というのがちょっぴり本音。





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