1997年初出 園田健一
講談社アフタヌーンKC 全7巻



日本のアニメにおける伝統芸ともいえる巨大ロボットものを作者流に再構築してみせた力作。

私が感心したのはそのSFマインドの豊かさ。

反重力エンジンにナノテクノロジー、軌道エレベーターと、恐らく膨大な設定資料集が背後には存在するものと思われます。

作り込みが半端じゃない。

ばんばん専門用語が飛び出してくるので油断してるとついていけなくなりそうになることもしばしば。

敵を異星人とし、侵略SFの側面をも併せ持っていることにも感心。

で、何よりも私がうならされたのが、地球を守るという大義名分のためには同胞の犠牲もいた仕方なし、と真っ向から作品内で言及していることなんですね。

かねてよりネタ的につっこまれてた、マジンガーZがぶっ壊したビルとかふんずけちゃった自動車とかダメでしょ、あれ、 みたいな話題から目をそらさずに、それは当然の結果として起こりうるもの、としてきちんと描写されてるんです。

ある種のタブーだったと思うんですね、これ。

なぜみんなそこを無視してきたか、というと、そこに触れてしまったら巨大ロボットという兵器の矛盾、不合理性に気づいてしまうから、ですよね。

でも作者はあえてそこに踏み込んで、設定にがんじがらめに縛られながらも善悪の端境をくぐりぬけ、きわどくも物語を成立させてるんです。

これは快挙、と言っていいと思う。

誰も巨大ロボットものでここまでリアリズムに徹してないと思います。

現実的帰結にこだわるあまり、エンディングがいまひとつ盛り上がらなかったのが残念といえば残念ですが、ロボットものの枠組みを越えて本格SFの頂にすら手を伸ばした作品、といえるのではないでしょうか。

個人的に唯一残念だったのは、女の子のキャラが全部アニメ絵でそのパーソナリティもアニメみたいだったこと。

読者層を意識したのかもしれませんが、これだけのことをやっておきながら女だけが現実から乖離してどれもこれも男の妄想を形にしたお人形さんのよう、というのは評価をゆがめる要因になってしまう気もします。

それがあったから一般に浸透したのだ、と言う人も居るでしょうけど。

ともあれ、記憶に残るシリーズではありましたね。



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