スペイン/メキシコ 2007
監督 J・A・バヨナ
脚本 セルヒオ・G・サンチェス



製作総指揮をギレルモ・デル・トロがつとめているせいもあって、彼の監督作「デビルズ・バックボーン」との類似点に思わずにやりとさせられたりもするんですが、はっきりいって圧倒的にこちらの方が傑作。

デビルズ・バックボーンで描ききれなかったことをこの作品に求めたのか、単に孤児院ネタが好きなのか、その心の内は計り知れませんが、よくぞこれだけのものを世に送り出してくれた、とあたしゃ素直に感謝したい。

いわくつきの屋敷で突然姿を消したわが子をなりふり構わず探し続ける母親を描いた作品なんですが、こりゃ凄いな、と私が思ったのは、幽霊屋敷ものに見せかけておいてその真相を全く別の地点に見事誘導したこと。

もうね、さんざん煽るんですよ。

得体の知れない老婆が徘徊したり、障害を負った子供の陰惨な殺人事件が暴かれたり。

挙句には霊能者までひっぱってきて、もう、どこをどう切り取ってもホラーの文脈。

ああこりゃ超常現象を見えざる力で解決に導く気だな、と誰もが思うはず。

ところがです。

これが前フリで伏線はきっとこれ、と確信していたものを最後の最後で全部ひっくり返して、予想すらしなかったとんでもない事実を監督は観客に突きつけるんですね。

まさかあの場面がこんな意味を持っていたのか、と驚愕すること間違いなし。

救いはありません。

救いはないんですが、怪異と現実を双方ぶれることなく並立させて矛盾も齟齬もないという卓越した手腕にこれはもう1級品のスリラーだ、と私は舌を巻いた次第。

海と洞窟に古びた屋敷と、見るものの想像力を喚起するロケーションの多彩さもいい。

見終って、やりきれない気持ちにさせられる1本ではありますが、私はこの作品には精緻な美意識がある、と感じましたね。

大傑作。

必見でしょう。





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