スペイン 2004
監督 アレハンドロ・アメナーバル
脚本 アレハンドロ・アメナーバル、マテオ・ヒル



事故で四肢麻痺になり、26年に及ぶ寝たきり生活を送る主人公ラモンの尊厳死を求める姿を描いた作品。

もう、半端じゃなく重いです。

四肢が動かないのにも関わらず、いつも笑顔でユーモアもあるラモンが実は常に死を願ってる、というだけでとてつもなく気持ちが沈みます。

これがアメナーバル監督じゃなかったら私は絶対見てないと思います。

だってもう、どう考えても救いがないですし、 見終って落ち込むのがわかりきってますから。

尊厳死に関しては色んな意見があることだろうと思いますが、それに対して監督は作品冒頭で早々と答えを出してて、 主に作中で描かれているのは死を決意した人間と、当の本人を取り巻く人間とのやりとりであり、葛藤。

つまり、この作品って安らかに死すためにどう生きるべきか、を切々と描いてるんですね。

もちろん本人に迷いがないわけではありません。

ただ、その迷いは、死を断念するかどうかではなく、こんなに多くの人に良くしてもらってるのに何故私は死にたいんだ、という自分に対する疑問なんですね。

そこに変節はないんです。

なんて深い絶望なんだろうとただただ嘆息。

作品が訴えかけているのは、どうか法律や良識を盾に生を賛歌することだけに固辞せず、死という選択も与えてあげてください、という血の叫び。

議論は求めてないんです。

自分の意思で死ぬこともできない人間に、あなた方の寛大な気持ちで自死という慈愛をとすがる、ささやかな願いがあるだけ。

もうね、どう感想を書けというのか、という話であって。

尊厳死についてなにも考えたことのない人にとっては、その心に大きく波紋を投げかける作品であることは間違いありません。

またこれが、暗喩するものや皮肉も散りばめられてあって、作品としてよく出来てる、というのが今回に限ってはなんとも辛い。

中途半端な出来だったら批判もできたんですが。

見終って半日ぐらい引きずりました。

傑作なのは確かですが、見る前に心の準備を。

観客にも死と対峙すること、死について考えることをこの作品は要求します。

そしてこれが、決して恵まれていない環境下にある事例を扱ったものではない、ということを私は強く心にとどめておきたい、と最後に思った。





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