アメリカ 1971
監督 ロバート・ワイズ
原作 マイケル・クライトン



人工衛星に付着して地球上に持ち込まれた謎の病原体、アンドロメダ株菌による人類滅亡の危機を描いた感染パニックもの。

当時の国家レベルでの危機防衛の描き方、地下研究施設を描写する上での厳格な細部へのこだわり、科学的考察をないがしろにしない病原体の正体へのアプローチ等、徹底したリアリズムの追求が見事という他ありません。

ここまでやるのか、と私は舌を巻いた。

そこはもうカットしてもいいのでは、と思えるような場面まで、これでもか、と専門性の高い知見で埋め尽くしてくるんですね。

もう、ほとんどドキュメンタリーレベル。

物語の主筋より、アメリカはこういう形で未知の疫病に対処するのか、と別の好奇心が満たされてしまうほど。

空想を絵空事にしない、という意味では非常に本格志向な内容だと思います。

そこに知的興奮があることは間違いない。

ただ、物語世界の外堀に完璧を期することを意識しすぎたせいか、手に汗握る危機感みたいなものは少し希薄だったかもしれません。

ドラマ性、と言う意味では盛り上がりに欠けるかも。

なんせ舞台となっているのは序盤以降、ずーっと地下研究施設なんですね。

昨今の派手な絵ヅラに慣れている人たちにとってはそこが地味に映るかもしれません。

でも、ここまでこだわりぬいたSFって、長い映画史の中でもなかなかないと私は思うわけです。

特にアンドロメダ株菌の正体を暴く展開は、古いSFファンとしては、そうきたか、と実にわくわくするものでした。

外宇宙人と宇宙空間で戦争するだけがSFじゃない、と知ってもらう意味でも後世に伝えていきたい作品だ、と思いましたね。

満点ではないでしょうが、それでもあえて名作と呼びたい次第。





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