アメリカ 2014
監督、脚本 デヴィット・ロバート・ミッチェル



ちょっと期待しすぎた、というのは若干ありました。

確かに発想は面白いと思うんです。

セックスすることによって感染し、死をもたらす謎の存在、というアイディアはどこかHIVのメタファーのようでもあり、完全に崩壊した10代の性へのモラルに対する警鐘と見てとることもできる。

監督はHIVは関係ない、と否定しているみたいですが、現実問題として、そうともとれる作りになってるのは間違いないですし。

ましてや舞台は80~90年代。

エイズは関係ない、といってもそりゃ無理ってなもの。

ドストエフスキーの小説の一文を引用したり、終盤のプールのシーンである人物をイットとして登場させたりと、暗喩するものを多分に含んだホラーとして別な解釈もできますよ、とおそらく監督は訴えかけたかったんでしょうが、まあ、そこまで汲み取ってくれる熱心な観客は少ないでしょうね。

やっぱりこれをですね、セックスをモチーフとし、若者から大人に変わっていく心の内面を、死を反面教師としたドラマとして演出してみました、などと言われても、それを別にホラーでやらなくてもよかろうよ、って話になってしまうわけです。

ホラーの体裁をとるならまずはホラーとしてしっかり怖がらせて欲しい、と思いますし。

イットがいつのまにか風景に紛れ込んでのたのたやってくるシチュエーションは前フリのない突発事故みたいな感じで肝を冷やすものがあったんですが、それで怖さは全部です、ってなってしまってるのが私的にはやや不満。

気がついたらそこにいた、という設定をもっと上手に利用して、震えあがるようなシーンをせめてひとつかふたつぐらいは用意して欲しかった。

そういう意味ではシナリオ、恐怖演出における工夫に乏しい、と言わざるをえないでしょうね。

例えば、感染した人間が死んでしまうと自分に戻ってくる、というルールを逆に利用して仰天のオチを手配するとか。

これ、もし100人と寝たらどうなるのか、なんて実験もルールを検証する上でおもしろいと思うんですね。

そもそもですね、自分の生死がかかってるのにセックスする相手をいちいち選んでる場合じゃなかろうが、と私は思ったりもするわけです。

それこそがティーンの優柔不断さなのかもしれませんけど。

こんなわけのわからないものをうつした元カレをまるで断罪しないのにも納得がいかない。

まあ結論として、色々惜しい、といったところでしょうか。

ホラーの本質とは他の部分に色気を見せたがため、一本調子になってしまった、というのが正直な感想。





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