アイスランド/デンマーク 2015
監督、脚本 グリームル・ハウコーナルソン



なんとまあ牧歌的な邦題か、と幾分面食らったりもするわけですが、内容自体は牧歌的どころか40年来の兄弟の確執と家畜の伝染病に苦悩する放羊家を描いていたりするので、そんなに気楽にみれるというわけでもない、というのが軽くブラフをかまされた気分になる、とでもいいますか。

何を意図していたのか、邦題担当者。

まあ、いいんですけど。

しかし地味である。

主要となるキャストは年老いた爺さん二人が演じる兄弟。

絵にならないこと、おびただしい。

ただ、それが、 不思議と重くならない、薄汚くならないのは演出にどこか滑稽味のあるおかげか。

とりあえず羊がもう、かわいくて。

こいつらったら、なんて従順でもふもふしてやがるんだ、と軽く萌えてしまうことは請け合い。

そういった意味では画作りを含め、重い物語を息苦しく感じさせない緩和の作法は巧緻だった、といえるかもしれません。

シナリオそのものは意地悪な言い方をするなら予定調和。

おそらくみんなが、こうなるんだろうなあ、と想像する方向にストーリーは進行。

今一歩心に響かないのは、何が40年間も兄弟を断絶させたのか、が語られていないせいでしょうね。

それが不透明だから雪解けにも真に迫るものがない。

それを力技で補ったのがラストシーンか、と思ったりもするんですが。

ちょっとびっくりさせられたのは確か。

えっ、そこでぶった切ってしまうの?と。

テーマ自体は完遂しているといえるのでしょうが、まさか肝心の顛末を想像に任せるとは、といささか呆然。

消化不良だ、と言う人もきっと中にはいることと思います。

でも個人的に、これがありか、なしか、と問われれば、ありだ、と私は思うんですね。

じいさん二人の放羊家の物語などという慎ましやかで局地的な映画を飽きさせず最後まで見せきった、という点をなにより評価したい、と思う次第。

なんかいい映画だ、と素直に思える一作。





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