イギリス 1973
監督 ロビン・ハーディ
脚本 アンソニー・シェイファー



下界から途絶したスコットランドの私島で起こった、少女の行方不明事件を題材にしたスリラー。

さしずめ日本の探偵小説で言うところの横溝正史「獄門島」「悪霊島」あたりを想像してもらえればしっくりくるのでは、と思ったりもします。

金田一耕助の役割を果たすのは主人公ハウイー巡査。

ただし、この作品の場合、ミステリ色はあまり濃くなく、どちらかといえば島の土着信仰に端を発する決定的な文化の違いを描写することに焦点があてられていて、キリスト教を信奉する巡査が無理解の壁に阻まれどんどん孤立、迷走していく様子を描くのがストーリーの核になってるような印象も。

むしろミステリな部分はあまり期待しちゃいけない、と言ったほうがいいかもしれない。

シナリオは小さな矛盾をいくつか抱えてたりします。

はっきり言ってしまうなら細部の詰めは結構甘い。

異宗教の最もたる体現である信者の集会、祭りのあり方や、その衣装、教義ひとつにしても失笑と紙一重、ってなところが若干ありますし。

私が見た限りでは、多分、性神信仰が根っこにある、と思うんですね、舞台となっている島の信仰って。

そのせいかやたらと脱ぐんですな、出演女性陣が。

そこはね、いくら異宗教を印象づけるためとはいえ、ケルト民謡っぽい旋律にあわせて素っ裸で踊られてもですね、あまりに突拍子もなさ過ぎて困惑、というのは正直あった。

やはり理解の外側に存在する「怖さ」みたいなものをもっと巧みに演出できなかったのか、と思いますし。

監督はそんなにできる奴じゃない、というのは間違いなくある。

じゃあ、この映画の何が時代を超えて語り継がれているか、というと、それはもう1にも2にも軽いどんでん返しを伴った衝撃のエンディングにすべてが集約されてる、といっていいでしょうね。

まさかそう落とすとは思わなかった、というのももちろんありますし、宗教の愚昧さ、無力さをも暗示する狂気のラストシーンは中盤までの至らなさを全て帳消しにしても良いほどの一大スペクタクルだった、と私は感じた。

もう救いのなさがほんと鬼気迫って怖いんですよ、これ。

決して出来のよい作品ではないと思うんですが、最後の最後にあれだけのシーンを用意できた、という点において私は評価したいですね。

記憶に残る一作。

ちなみにこの作品、2006年にニコラス・ケイジ主演でリメイクされてます。

リメイクはオリジナルの矛盾をちゃんと補完してていい出来だったような気が。

でも、この内容でニコラス・ケイジは違うだろ、と思ったりも。





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