韓国、ドイツ 2003
監督、脚本 キム・ギドク



キム・ギドクといえばエキセントリックなドラマを得意とするストーリーテラーのイメージがありますが、本作に限ってはシナリオの緩急、落差より、映像が語りかける叙情性に重きをおいた印象。

山中の湖にポツリと浮かぶ寺院を舞台に、数十年の歳月を四季に見立て、その場所に関わった人たちの人間模様を朴訥に描写。

一本道な物語があるわけではありません。

いうなれば「寺院そのもの」が見つめた行き交う人のありようを、断片的に切り取ったような形。

さしずめテーマは流転か。

内省的ともいえるし、逆に大局的ともいえる視点の独特な立ち位置はどこか芸術的な佇まいをも帯びています。

絵的に美しい、と言うのはありましたね。

そこに惹きつけられた、というのは間違いなくあった。

下界と隔絶した世界での出来事は、どこか夢のようであり、御伽噺のようであり。

なんらオチがあるわけじゃないんですが、それを不満に感じるよりも、不思議に魅せられた想いの方が大きかったですね。

心が現世を離れ、映像世界をトリップするような感覚を味わったのは本当に久しぶり。

ただ、挙げ足をとるようなことを書くなら、住職が突然カンフーの演舞をやりだすなど、不粋だな、と思えるシーンもいくつかなかったわけじゃないんですが、そこはまあ、ギドクの遊び心ってことで容認しましょう。

決して広く支持される作品ではないと思うんですが、一部の人たちをとらえて離さぬ磁力を帯びた作品であることは確かだと思います。

私はなんか好きですね。





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