アメリカ 2000
監督 ターセム・シン
脚本 マーク・プロトセヴィッチ



まあ、プロットそのものは当時にしてもそれほど目新しいものではなかった、と思うんです。

他人の精神に外科的接続を経て侵入する、いわゆるサイコダイビングのアイディアは遡れば60年代からありますし。

厳密に調べればもっと古くからあったかも。

シナリオもそれほど緻密に練られたものとはいえず、どちらかといえば単調。

なんとなく納得いかないものも後から考えてみれば出てきたり。

結局サイコダイブありき、の物語になってるんですね。

一風変わったサスペンスを演出するためのSF的着想、というわけでは決してない。

じゃあ見るべきはなんだったのか、というと、女性心理学者が連続殺人鬼の心の中に侵入するという設定、その一点に尽きると私は思うわけです。

そこでどういう絵を見せるのか、それこそが映像作品としてこのタイトルに期待されるすべてではなかったか、と。

だって、他に特筆するべき何かが見当たらないわけですから。

ただ、そこのみに着目するなら監督、十二分にストーリーテリングの甘さを補う映像表現でもって観客の目をくらましてくれたと思えてくるんだから大したもの。

衣装デザインで参加した石岡瑛子さんの功績も大きかったとは思うんですが、精神世界を描くにあたって単にグロに特化するのではなく、おどろおどろしさと美麗さを対比させた「ミスマッチの妙」があったような気がするんですね。

さらに監督が独特だったのは、どこかオリエンタルな風合いをその世界観にまとわせたこと。

ギレルモ・デル・トロに近い質感を感じたりもしたんですが、美しいものをさらに美しく撮ろうとする執着はこちらの方が上な気がしましたね。

イマジネーションの豊潤さ、というよりは何をどうイメージするかのセンシビリティがぬきんでて鋭敏なように私は感じた。

作品自体は決して大傑作、と言うわけではないと思うんですが、ターセム・シンの映像作家としての才能を知る上で見逃せない一作、といえるのではないでしょうか。

ジェニファー・ロペスがめちゃくちゃきれいなのも良し。

突き詰めれば結局は映像なのかもなあ、と思ったりもした一品でしたね。





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