フランス 2014
監督 フレッド・カヴァイエ
脚本 フレッド・カヴアィエ、ギョーム・ルマン



元刑事と現役刑事のコンビによるクライムサスペンスというかフィルムノワールというか、まあおおむねアクションなんですが、これはちょっと見逃せない秀作だと思う次第。

ストーリーは至極単純なんです。

元刑事の息子が殺人事件の現場を目撃。

口を塞ぐために息子を始末しようとつけまわすマフイア。

すでに警官ですらないオヤジは単身息子を守れるのか、ってな内容なんですが、まず驚いたのはこのシンプルさで驚きの現実味あふるる演出、人物描写に秀でていること。

主演のヴァンサン・ランドンの渋すぎる演技のおかげもあったのかもしれませんが、前半の進行なんて、これはどういう人間ドラマなんだ?と怪訝に思ったほど。

根っこの部分にジャンルにとらわれぬ映像作家としてのうまさがある。

なんといいますか、翳り、憂いを帯びた画作り、雰囲気作りがやたらうまいんですよね、この監督。

ついつい引き込まれるばかりか、今のカットはどういう心理状態を反映したものなんだろう、などと思わず考え込んでしまう。

即物的で、過剰になり過ぎないアクションシーンもどこか北野映画のような佇まいがあって実にいい。

一連のリーアム・ニーソン主演作のような最強の超人オヤジありえない大活躍、じゃないんですね。

泥臭いまでに無骨に駆けずり回って窮地を脱しようとする等身大の姿を描こう、と努めている様に私には思えた。

で、そこにやたらと心ゆさぶられてしまうわけです。

まわりくどくわき道にそれることなく、一気にテンポよく最後まで見せきるスタイルもいい。

また、このシナリオで最後にあっ、と驚かされるオチが用意してあるのも心憎い。

種明かしにちょっと無理があるかな、と思ったりもしなくはなかったんですが、終盤にいたるまでの盛り上がりで気持ちが高ぶっちゃってるからもうそれでも全然OK、ってたやすくも陥落する私。

なるほど新時代の才能といわれるのもわかる、と強く納得。

この異様なテンションと破綻のなさ、ドラマ作りのうまさはちょっと他ではお目にかかれないものだ、と思います。

気に入った。

今後に大きく期待ですね、これは。





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