2013年初出 坂本眞一
集英社ヤングジャンプコミックス 1~2巻(全9巻)



恐ろしく絵がうまい、とは思いましたね。

コマ割りひとつひとつがまるで絵画のようだ、というのは褒めすぎかもしれませんが、人物にしろ背景にしろ、どういう構図でなにを描くか、完全にイメージが出来上がっていて、すべて理解してる人の作品だ、と感嘆。

技術といいセンスといい一級品なのは間違いないと思います。

ただですね、18世紀フランスの死刑執行人の苦悩、内面を描く上で、人物像がいささかステロタイプかな、というのは感じました。

それは主人公をとりまく他の登場人物にも言えていて。

わかりやすさ、伝わりやすさを心がけたのかもしれませんが、どこか記号的なキャラクターばかりが雁首をそろえることの弊害はわずかなれど作品のリアリズムに影を落としていたようにも思います。

惹きこまれるものはあるんです。

ただ、私の場合は惹きこまれこそすれ、どこかのめりこめない。

なにもかもが恐ろしくテクニカルなのは間違いないんですが、どこか根っこの部分で主人公の真なる心の内、激情が伝わってこない、とでもいうか。

豊穣に果実は実れど、ナイフを入れてみたら中は意外にも空洞だった、みたいな。

単に好みの問題なのかもしれません。

ヤングジャンプの誌風も影響してるのかも。

質の高さは疑いようもなく、なんら否定する材料もないんで、 そりゃ人気も出るだろうと納得も出来るんですが、個人的には続きを読もうという気にあまりなれない困った一作。

この作品の大ファンな人の気持ちもわかるだけにこういうケースが一番評価しにくいですね。

作者の別の作品を読んでみればまたなにか見えてくるかも、という気はしてます。



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