1977年初版 小池一夫/平野仁
小学館ビッグコミックス 全9巻



突如宇宙より飛来した侵略者に、たった10人で立ち向かうことになった少年達を描いたサバイバルSF。

侵略SFの名画「ボディスナッチャー恐怖の街」をご存知の方は、そちらを思い出していただけると話は早いかと。

全人類が宇宙人に憑依され、人格を失った状況下で、ちょっとした偶然からその支配を免れた少年達はいかにして宇宙人に対抗していくのか、が物語の大筋なわけですが、 まあ前半はそれなりにスリルもあって楽しめなくはなかった。

小池一夫が本格的にSFをやる、ってのも珍しいですしね。

実際、色んな引き出しからあらゆる知識を総動員させてもっともらしさを構築しようとする手管は決して悪くはなかった、と思うんです。

一体侵略者はどういう生命体なのか、その目的はなんなのかを解き明かしていくくだりに、いかにもSFらしい知的興奮があったことは確か。

問題はそんなSFにすらいかにも作者らしい男根主義やら愛やらを持ち込んだことでしょうか。

いやね、宇宙人の使者である女を味方に引き込むのはいいんですが、それを無理矢理レイプして妻にする、って、もう滅茶苦茶だと思うんですよ。

そもそもその使者がどういう生命体であるかもわからないのに地球の価値感を押し付けて、俺はこの女と生涯を共にするっ!て、愛を叫ばれてもですね、正気か、という話であって。

自分の得意なテリトリーに物語を引き込もうとするのはかまわないんですが、それが侵略SFというジャンルに合うものなのかどうか、そのあたりの検証がごっそり抜け落ちてるんですよね。

だからどう外堀をそれらしく固めても、結局物語の図式は10人の男達VS強大な権力者、みたいな構図になる。

この内容だと、別に敵は外宇宙からの侵略者でなくたって全然問題ないわけです。

その証左にエンディングでは宇宙人が、ある事に心うたれて地球を去る、という結末が描かれてます。

時代劇かよ!って。

とても高校生以下とは思えない主人公達の大人びた言動の数々もよろしくない。

子供達ならではの危うさ、純粋さがあってこそのタイトル「少年の町」だったと思うんですね。

これじゃあほとんど「アダルトの町」。

漂流教室にも成り得た可能性のあった作品だと思うんですが、どこかで舵取りを間違えてそのまま修正がきかなくなってしまった印象。

怪作です。

小池一夫はSFに向いてない、とつくづく思った次第。



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