イギリス 1961
監督 ジャック・クレイトン
原作 ヘンリー・ジェイムス



隠れた名作ホラーとして名高い一品。

いわゆる幽霊屋敷もの、なわけですが、私がこりゃ類まれなセンスだな、と思ったのは音響の巧みさ。

特にオープニングの不気味さときたら、このシーンでこんな音を使うのか、と唸らされたほど。

そこはかとなく狂気漂う、とでも言いますか。

そこはもっと評価されるべきでは、と思いましたね。

内容自体はホラーというより心理劇に近いもの、と言ったほうがいいかもしれません。

基本、この世あらざるものを目撃するのは2人の子供の家庭教師として屋敷にやってきた主人公だけ、なんですね。

子供達2人が謎めいた存在として描かれてますんで、子供達は見えていながらも嘘をついている、という解釈も可能かとは思いますが、そこは作中で言及されていないんで、考えにいれる必要はないでしょう。

つまり、主人公の不安定な精神状態を可視化した悲劇、というのが一番もっともらしい見方かと思うんです。

これを、屋敷で亡くなった人間の幽霊、と主人公の言質そのままに信じ込んでしまうと、俄然安っぽくなるし、現実味がなくなってくる。

つまらない、と言う人は多分この罠にはまってる。

ただ、なんの前フリもない、というのは確かなんです。

主人公がなぜそんな精神状態に陥ってしまったのか、その背景が全く描写されてないんで、それこそ深読みが好きな人でないと気づきにくいというのはあるでしょうね。

これは原作である「ねじの回転」を脚色した人間の至らなさ、と言えるかもしれません。

あえてどっちつかずな線を狙ったのかもしれませんけどね。

誰の視点が物語を誘導しているのか、それを観察しながら見ることでその怖さの質も全く変わってくる一作だといえるのではないでしょうか。

個人的には最後のキスシーンが一番怖かったですね。

主人公の屈折した心の闇を覗いたようで。

ホラーファンは物足りないかもしれませんが、後世にまで残るだけの理由はある、と思った作品でしたね。

余談ですが、これがアザースの元ネタ、ってのは、誰が言い出したのか知りませんがそりゃちょっとズレてるだろ、と思う次第。

別物です。





movie