フランス 2008
監督 フレッド・カヴァイエ
原案 ギョーム・ルマン



無実の罪で投獄された妻を救うために、決死の脱獄計画を実行しようとする夫の姿を描いたクライムサスペンス。

ボール・ハギス監督作「スリーデイズ」のオリジナルでもあります。

ちなみに本作、カヴァイエ監督の劇場デビュー作になるわけですが、すでに監督らしさは全開です。

あれこれ、こまごまと余計な説明はしないんですね。

ヴァンサン・ランドン演じる夫の行動を逐一描写することだけで物語をぐいぐいひっぱっていく。

語らぬ説得力、息もつかせぬテンポのよさはすでに顕著。

脇道にそれたり、他の要素を盛り込もうとしてないから、テーマもわかりやすくシンプルで小気味よい。

すべて彼女のために、の邦題が全部語ってますね。

善悪とか、倫理観とか、理屈じゃないんです。

惚れた女房が冤罪で刑務所に閉じ込められてる。

俺は誰がなんと言おうと女房を信じてるし、それを弁護士が救えないというなら、俺の手で脱獄させるまでだ、ってだけのストーリーなんですよ、いうなれば。

これをかっこいい、といわずして何に心酔するのか、って話なわけです。

ああ、なんだかハードボイルドなフィルム・ノワールのようだ、と思ったりもしましたね。

主人公を一介の国語教師、としたのも秀逸でした。

ド素人が執念だけで警察を敵に回して奔走するわけですから、その危なっかしさたるや、予断を許さぬスリルに直結。

ちょっとラストシーンが優しすぎるかな、という気がしなくもありませんが、実によく出来た作品だと思います。

あらためて「スリーデイズ」は余計なものを足しすぎた、と実感。

何を見せて、何をスルーするのか、研ぎ澄まされたシンプルさが観客の気持ちを揺さぶるのだ、と示して見せた好例。

いや映画って、こういうものだったよなあ、とどこか懐かしい気分にさせられたりも。

オススメですね。





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