韓国 2001
監督、脚本 キム・ギドク



70年代の韓国を舞台に、アメリカ軍が常駐する基地のそばで暮らす人々の、悲喜こもごもな生活を描いた群像劇。

キム・ギドクは実際に自分がかつて暮らしてた村で体験したことを、若干の脚色を加えそのまま反映させた、とインタビューで述べてます。

ただ、その割には写実感と、いかにも狙いすましたかのようなエキセントリックさがアンバランスに同居してるような感触も。

私が70年代の韓国を知らなすぎるあまり、勝手な違和感を感じてしまっているだけかもしれませんが。

3組の登場人物達の物語が同時に進行していく構成は、どこかアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の初期の作品を見ているかのよう。

誰一人として決してハッピーエンドと呼べる顛末を迎えていないのも似てますね。

製作時期を考えるなら、どちらがどちらにインスパイアされた、ってものでもないんでしょうけど。

やっぱり衝撃的だったのは犬を屠殺して食肉にし、業者に卸すのを生業としている男のストーリーでしょうね。

決して犬を食う韓国の文化を否定するものではありませんが、私達が普段口にする牛や豚を屠殺する人たちの事ですら映画の題材となるのは滅多にないだけに、それすらも我々が生きていくための生活の一部なのだとした生々しい描写の数々はひどく心にひっかかるものがありました。

片目が白濁しているがため、基地のアメリカ人男性とつきあうことを選択した女のストーリーも印象的です。

あくまで想像ですが、沖縄でも近いことがきっとあったのでは、と思わせる他国の軍隊と現地の人間のゆがんだ交わり合いはリアリティあふれるものだった、と思います。

残念だったのが終盤。

集中力が途切れてきたのか、なにか他の要因があったのか。

立て続けにそれまでの3者の関係性を崩すような事件がおこるんですが、展開がやたら強引なんですよね。

わざと物語に大波を起こさんがため、過剰に悲劇を演出しすぎな傾向が。

特に屠殺業者の命運に関しては、そこまでやるだけの動機があったか?と私は思った。

妙にコミカルなシーンを挟んでいるのもその意図が読めず困惑。

だらだら引っぱりすぎ、と思えた部分も。

なんか急に空々しくなっちゃうんですよね。 

終幕までが突然長いように感じられてくる、ってのはやっぱり余計なことをやってる、ってことだと思うんです。

もう少し潔く編集でカットすべき場面があったのでは、と思ったり。

興味深いテーマの作品ですし、無視できないものもたくさんあるように思うんですが、同時に散漫さも鼻につくというきわどい一品。

共通点の多い日本だからこそ伝わるものもたくさんあるはずなんですが、広く支持されるのは難しい映画かもしれません。





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