アメリカ 2011
監督 ニコラス・ウィンディング・レフン
原作 ジェイムズ・サリス



表向きは修理工だが、裏側では犯罪幇助なアルバイトに手を染めていたりもするスゴ腕ドライバーの、ささやかな思慕を描いたクライム・サスペンス。

アメリカ映画らしからぬ間だな、と思ったら案の定監督はデンマーク出身。

作品の肌ざわりは完全にヨーロッパのテイストですね。

そこに酔わされる人は確実に一定数存在することと思われます。

冒頭いきなり、トランスポーターかよ、とでも言いたくなる派手なカーアクションは、些少の既視感こそあれ、まずはインパクト充分。

警察無線を傍受しながらストップ&ゴーを繰り返す流れは、ひりつくような緊張感を充分に演出していたように思います。

ギャップというか落差を上手に見せるのがうまい監督だな、というのはありました。

それは主人公の行動にも反映されていて。

まあ、ぶっちゃけた話が主人公、ちょっとやばい人です。

普通に見えて、なにを考えてるのかよくわからないところがある。

作中、彼がとる行動って、選択肢はそれだけじゃないだろ、と思えるものが多いんですよね。

その急進的な行いが彼自身を追い詰めているように見える節もあった。

しかしそのどこか普通じゃない躊躇のなさと、似合わぬ仄かな想い、その対比がなんか心を揺さぶってくるんです。

一切過去は語られません。

なのに、彼が本当に欲していたものはなんだったのか、それが少ないセリフの行間から自然に伝わってくる作りは賞賛されてしかるべきかと思いますね。

まあ、ノワールでしょうね。

なんだか妙に切ない気持ちにさせられるのは、うまく行くはずがない、と最初からわかっていたからか、たったあれだけの邂逅が主人公にとって至福だったんだ、とわかってしまうことが涙を誘うからか。

光と影のコントラストが強烈な画作りも印象的。

ちょっと暴力描写にやりすぎなところもあるんですけどね、ああ、なんかいい映画を見た、と思わせる1本だと思います。

どこか美意識がある物語だ、と感じましたね。





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