アメリカ 2016
監督 ウィリアム・ブレント・ベル
脚本 ステイシー・メニヤー



8歳の男の子の世話をするために老夫婦に雇われた女が屋敷を訪れてみると、そこに居たのは人ではなく等身大の男の子の人形だった・・・・・ってなオープニングのホラー。

人形を我が子だと思って世話をする壊れた夫婦、って絵そのものは別段珍しくも目新しくもないように思うんです。

数々の作品で使いまわされてきた題材であることは間違いない。

大事なのはそこからどう物語を転がしていくのか、だと思うんですが、中途半端な先入観を抱かせない筋運びは、思いのほか達者だったように思います。

またこのパターンかよ、みたいな安直さを感じさせないのは大したもの。

おかしいのは老夫婦なのか、それとも、人形にわが子を見るヒロイン、グレタなのか?

どんなオチが待ち構えていようと、矛盾なく結べるように配慮したシナリオ構成はなかなか巧み。

超常現象の表現の仕方もうまい。

常識で解釈できるギリギリのラインをうまく突いていくんですよね。

あからさまに怪現象である、と作中で断定するそぶりを見せないんです(1点のみを除いて。ただしこの1点はラストでなぜそうなったのか、その理由が明らかになる)。

つまりは常に観客側に想像する余地を残したままにしておく、ということ。

これ、できそうでなかなかできないことだと思うんですね。

どうなるのか全く読めないまま最後までひっぱる手腕は意外にたいしたものだ、と感じました。

私がちょっとひっかかったのは、作品そのものの質感がどこかテレビドラマのようだ、と思えた点なんですが、それもエンディングのどんでん返しで帳消し、と言っていいでしょう。

これはさすがに誰も予想してなかったんじゃないか、と思いますね。

いや、久しぶりにあっ、と言わされました。

オチのわかるその瞬間まで一切なにも真相を匂わせなかった周知な作り込み、一瞬で全てをひっくり返す仰天の場面作りは賞賛されてしかるべきだと思います。

何故そうなってしまったのか、謎を謎のまま残してるのが若干気にならないわけでもないんですが、見破れなかったんで、ここは素直に降参。

決して高い力量のある監督ではない、と思うんですが、シナリオの完成度の高さと、それを映像化する上で破綻のないよう、真摯に取り組んだ姿勢を私は評価したいですね。

数ある単館上映作品の中じゃあ、予想外の快作と言っていいんじゃないでしょうか。 





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