フランス/イギリス 2003
監督 フランソワ・オゾン
脚本 フランソワ・オゾン、エマニュエル・ベルンエイム



スランプ気味の女流ミステリ作家が、息抜きのために訪れた南仏の別荘で遭遇する、不可解な事件を描いたサスペンス。

ファンの間では名作、と評価の高い作品ですが、はっきり言って難解です。

いや、厳密に言うと、終盤までは別にそれほど頭を使う内容でもないんですけどね。

なんか突拍子もない事する女だな主人公、とは思ったりはするんですが、そこに難しさはない。

ひとえに混乱を招くのはすべてをひっくり返してしまうラストシーンで。

私なんざ「はあ?なんだそれ?」と、ただただポカン。

なぜ、物語をそんな風にくくってしまうのか、まるで意味がわからない。

ちょっと待ってくれよ、そういう映画ならそういう映画だと先に言っておいてくれよー、みたいな。

あわてて中盤以降を再度見なおしてみて、細部をじっくり観察すること約1時間、ようやくおぼろげに見えてくるものがあったんですが、うーん、これ、どうなんだろうと。

ネタバレになるんで詳しくは書けないんですが、どこまでが現実でどこまでが妄想なのかを見極めることが、この作品を読み解くヒントになるように思うんですね。

ただ、それを読み解こうにもですね、どっちともとれる、もしくはひたすら意味深な小細工が邪魔をしてどうにも解析不能、結果、大枠での監督の意図を嗅ぎ取るのが私にはせいぜいだった、ってのが情けないかな、実状でして。

鋭い批評眼をもつ映画マニアな諸先輩方がご覧になればまた違うんでしょうけど、私の感覚ではちょっと観客に解釈をゆだねすぎかな、というのはあった。

吟味に吟味を重ねることで、なるほど、そこまで作り手は緻密に計算していたのか!と、ふいに腑に落ちる瞬間がいつまで待ってもやってきそうに思えないんです、いくら頭をひねっても。

私が未熟なだけかもしれませんけど。

で、最も肝心なのは、そこまで手の込んだことをやりながら、なにを表現したかったのか、という点なんですが、これがですね、私にはただ自己完結なフラストレーションの昇華、としか映らなかった。

そこであらためてひっかかってくるのが強引に絡ませたとしか思えない終盤での殺人事件。

これね、動機といい、主人公の女性作家のフォローといい、やたら胡散臭いんです。

なぜそう転ぶのかがさっぱり理解できない。

本気で観客を騙したかったのなら、なぜここにもっとリアリティを持たせる工夫をしなかったのだろう、と思うわけです。

殺人事件のくだりを映画を読み解くためのほころび、みたいな形にしちゃあいけないんじゃないかと。

そこがルーズだから、単に欲求不満なババアの話、みたいな揶揄がまかりとおってしまう。

細やかな女性心理の描写や、謎めいた展開に惹かれるものはあるんですが、できうるならもう少し手のひらが汗ばむような玄妙さ欲しかった、というのが正直なところですかね。

私にはちょっとあわない作品でした。

誰にでも撮れるような作品ではない、とは思うんですけどね。





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